授業をアクティブにする! 365日の工夫 小学1年
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小学校1年生の授業づくりの1年間を描いています。
タイトル通り、そして、もともとわたしは「活動的な授業」中心に授業を組んでいますので(それしかできないという感じですが……f^_^;)、授業づくりと学級づくりを同時並行で行うような授業提案をしております。
他にこの本で、力を入れたのが、先達者がたの考え方、技術、実践をもとに今の授業に取り入れていくということです。学校教育の世界は移り変わりが早いのと同時に、過去の実践者のリスペクトに欠けるところが時々あって、過去の実践であっても、自分がさも初めてのような形で実践を紹介するときがあります。先行実践をしっかりさかのぼって、そのまま利用できるところは利用し、修正した方がいいところは修正し、どこをどのように修正したか明示していくことで、財産として利用できるのではないでしょうか。
こう書いているわたしも、いかにも、自分が開発したように書いているものがあるかもしれません。その都度、しっかり調べて書いていきたいです。
この本には、先達者の実践を追試したものであれば、(わたしの知る限り、調べた限りでの)その先達者の著書等にさかのぼれるように示しております。
興味ある方は、ぜひ原本に当たってみてください。
まえがきより
1年生はアクティブな存在です。
みなさん、当たり前にわかっていることと思います。
教科書も、最初から、アクティブ(つまり、活動的)な教材が開発・採用されて、アクティブな単元構成になっています。教師用指導書を見ても、アクティブに活動できるように工夫されています。例えば国語や算数の教科書を見ましても、活動的な言語活動や操作を中心とした算数的な活動がしっかりと取り入れられています。日本の教科書は優れています。
ですので、1年生の担任としてどうやったらアクティブな授業を展開することができるだろうかと悩むことは少ないでしょう。教師用指導書をもとに教科書を展開すればいいのです。
そこで、教科書教材をどのように授業するかという視点は教師用指導書に任せて、本書は次のような視点でまとめてみました。
第一に、1年間継続していく授業実践の視点です。基本、教科書の内容は時間や単元で区切られており、それが学習したら終わりです。教室は日常が続いています。日常の中で当たり前に続けられるアクティブな活動があれば、子どもたちもわたしたち教師も毎日が「学びのリズム」の中で心地よく生活していくことができると考えます。「キャラクター」「オムニバス方式」「ペアトーク」「詩」「あくしゅ」「絵本タイム」「ものづくり」「かるた」「忍者体育」「(ひらがな、漢字)文字の習得」「見たこと作文」「表現よみ」などがそれです。紹介しているページは2ページから6ページくらいですが、これらは年間を通してできる実践です。興味を持った実践が一つでもあったらうれしく思います。
第二に、成長という視点です。1学期、2学期、3学期と特に「書く」と「聞く」と「話す」ことを中心に学習の質を高めた実践を紹介しています。1年生の子どもたちの成長スピードはとても早いです。それに合わせて学習内容や学習方法を変えてあげないと子どもたちに失礼です。1学期はひらがな中心に文字を書けることを目標にしつつ、聞く、話す、積極的に動く学習をしていきます。2学期は1学期の学習をもとに、「自分の生活に役立てるメモ」をとってみたり、日常の不思議を探す「見たこと作文」をしてみたり、国語で学習した「説明文を他教科で使う」ことをしていきます。さらに3学期では「集会の話を聞いたことをメモ」したり、「表現よみ」という聞いて、理解して、話して、読むという活動をしたり、「説明文を他教科で使う」ことをさらに生かす活動を取り入れます。子どもたち自らが、わたしたちはすごいことができるようになっていると実感できることでしょう。
第三に、偶発的にできた時間の有効活用という視点です。わたしの経験上、1年生は他学年に比べて学習内容に関しては余裕があります。教科書がスムーズに進み、計画していた以上に時間に余裕ができてしまうことがあります。そういう時にできるアクティブな授業のヒントを載せました。「詩をつくる」「ものづくり」「いろんな音読」「ダウトを探せ」などがそうです。手軽にできるだけでなく力がつくことを考慮していることも知って欲しいと思います。こうしたネタ的なものは知っている数が多ければ多いほど助かるわけですが、応用しやすい実践を紹介したと共に本書の中で紹介している参考図書からたくさんのネタを拾うことができると思います。
第四に、本格的な実践の入口という視点です。「あとがき」に書きましたが、ここで紹介しているものの多くは、過去の骨太の実践が元になっているものが多いです。実践1つにつき何冊もの本が出版しているものさえあります。気に入った実践があれば本書を入口に深くその実践を学ぶことができます。
1年生の学習をアクティブにするという考え方につきましては、1章の「はじめに」で詳しく書いています。これは教科書を中心にアクティブな授業を展開するときでも使える考え方です。参考にしてみてください。少しでも、みなさまのお役に立つ本でありますように心から願っています。
目次
シリーズ発刊に寄せて/シリーズの読み方
まえがき
第1章 「1年生がアクティブに学ぶ」とは
〇 ようこそ!新時代の小1担任へ
1 1年生がアクティブに学ぶために1年生をどのように見ればよいか
1 赤ちゃん扱いしない
2 子どもたちは早く学習したがっている
3 1年生の学習内容はもともとアクティブである
2 「1年生がアクティブに学ぶ」ための考え方とコツ
1 活動型授業の典型であるワークショップ型授業の理解
2 飽きさせない工夫としてのオムニバス方式の導入
3 多様性を担保するための人間関係を固定化しない手立て
4 安心して学べる1年間通す基幹実践
第2章 1学期 慣れ,安心感,学習意欲,そして基本の習得!
〇 1学期に「アクティブな学び」を行うポイント
〇 1学期,授業実践のざっくりな紹介
1 学級のキャラクター君!よろしくね!(入学式編)
2 学級のキャラクター君!よろしくね!(授業編)
3 オムニバス方式で授業を進める(国語)
4 文字の学習・習得(国語)
5 ペアトーク(相手を思いやって聴くプロになろう)
6 今週の詩(最初の一歩)
7 今週の詩(詩をつくる)
8 あくしゅで広がる生活科(友達とあくしゅ)
9 あくしゅで広がる生活科(先生とあくしゅ)
10 あくしゅで広がる生活科(学校とあくしゅ)
11 あくしゅで広がる生活科(自然とあくしゅ)
12 絵本タイム(絵本の読み聞かせ)
13 数の感覚を知るカードゲーム(かるた型)
14 数の感覚を知るカードゲーム(トランプ型)
15 たし算ジャンケン(算数)
16 ことわざかるたで脳のトレーニング(国語)
17 ものづくり(ココアボール)
18 なんばんめ王様ゲーム(算数)
19 忍者体育(屋外編)
20 忍者体育(屋内編)
21 たし算・ひき算 本格理解定番授業(算数)
22 顔に水かけゲーム(水泳・水慣れ)
第3章 2学期 生活・学習習慣の定着,知的好奇心,力がついた実感を
〇 2学期に「アクティブな学び」を行うポイント
〇 2学期,授業実践のざっくりな紹介
1 漢字の習得(国語)
2 いろんな音読で声に出して読むことを楽しもう(国語)
3 メモ力を身につける!(特別活動)
4 空気と水の学習(生活科)
5 ちゃんと聞いていたかな?「ダウトを探せ」(国語)
6 どちらがながい―協働的な学びで(算数)
7 見たこと作文の開始(国語,生活科)
8 もしも原子が見えたなら(生活科)
9 説明文を書く(国語)
第4章 3学期 まとめ,引き継ぎ(発展),成長の確認を
〇 3学期に「アクティブな学び」を行うポイント
〇 3学期,授業実践のざっくりな紹介
1 集会の話を積極的に聴こう(聴く力の育成:特別活動)
2 早くたくさんの紙の枚数を数えよう―協働的に(算数:おおきいかず)
3 表現よみを使って「音声を活用した理解活動を」(国語)
4 新聞でファッションショー(図工:おおきなかみでわっくわく)
5 教科書内容をゲーム形式に(国語:まとめてよぶことば)
6 作った作品を文章で表現する(国語+図工)
7 マネマネ「ふゆめがっしょうだん」(図工,生活科)
8 冠詩で国語の授業終い(国語)
9 ハートのあくしゅ(道徳,学級活動,生活科)
第5章 授業をアクティブにするチェックポイント10
―授業の主体性と協働性を高める点検リスト―
1 あなたの授業はアクティブになっているか
2 アクティブ授業づくりのチェックリスト10
あとがき